エームサービス株式会社
企業の社員食堂や病院から、学校、スポーツ施設まで、様々な施設でフードサービスを提供するエームサービス株式会社は従業員約2万6000人中1733人が8つの部門から「さつきラン&ウォーク2022企業対抗戦(ウォークの部)」に参加した。「フォトコンテスト」「なんでもランキング」「本部長賞」
同社の特徴は「さつきラン&ウォーク」期間中に、社内での盛り上げ施策を数多く実施したことだ。
自らもランナーである長谷奈津美さん(38歳・産業保健師)はこう語る。
「ひとりでも多くの従業員に参加してもらうために告知段階では、社内のイントラネットでさつきラン&ウォークを紹介したほか、社長が従業員に発信しているブログでも取り上げてもらいました。『目指せ、一日平均8000歩』という目標をかかげて、参加した全員に〝参加賞〟を贈呈。歩いている途中に撮った写真を投稿してもらう〝フォトコンテスト〟や〝なんでもランキング〟も開催しました。〝なんでもランキング〟では『もっとも盛り上がった事業所』や『最年長』を選出し、参加部門ごとでの表彰制度として〝本部長賞〟も設けました」
同社は赤坂に本社を構えるが、多くの従業員は自社が受託運営する企業や病院、各種施設内の〝事業所〟で働いており、パート社員など、正社員以外の雇用形態が半数以上を占める。今回のようなオンラインイベントに参加することは「会社の一体感」を醸成することにもつながったという。
「パート社員の方はご自身の仕事や職場(事業所)に対しては誇りを持っていただいていると思いますが、日常で接点が少ないエームサービスという〝会社〟とまだ見ぬ仲間を体感することは難しい職場環境です。けれども、ウォーキングというスポーツを通じて本社や他事業所とのつながりができれば、会社に対しての愛着もより強くなるのではないか、と考えています(小谷周社長)」
これらの取り組みの前提にあるのが「楽しくなければ運動は継続できない」という考え方だ。
以降は小谷周社長(54 歳)のインタビューを掲載する。
来年は参加者を5000人に増やしたい
――1733人は今回の参加企業の中で最多です。
「私たちが事業展開している社員食堂では、その会社の社員が日々食事を召し上がるので、エームサービスはクライアントの健康経営をサポートできる企業だと自負しています。その一方で自社従業員の健康を促進する施策が継続的にできていたかというと、そうではありませんでした。そのため今回の『さつきラン&ウォーク』を良い機会にしよう、と考えていました。来年は参加者を5000人に増やしたいと思っています」
――イベント期間中に社内で様々な「盛り上げ施策」をしていることも特徴です。
「健康を促進するための運動は楽しみながら実践しなければ継続できない、と考えています。私たちの調査で『自ら積極的に健康のことを考えて食事や運動をしている人』は会社全体の3割です。それ以外の7割の方が栄養のことを考えて食事をしたり、運動をするためには『楽しいイベント』の存在が大きいのではないでしょうか。実際に今回の『さつきラン&ウォーク』も歩数が順位になって見えることでやる気が増したと思います」
――御社のサービスで「楽しく健康管理」を意識している事例はありますか?
「弊社が開発しているアプリでは、食事データの分析のみならず、休肝日にマークをつけられるようにしています。そのマークが増える喜びが、結果として休肝日の増加につながることを意図しています」
――御社の考え方と「さつきラン&ウォーク」の意図する部分が近いと感じます。
「大転職時代を迎えテレワークが浸透している今、企業の社員食堂に求められるのは『健康で美味しい食の提供』だけではありません。交流の場としての充実を求められることが多く、(社員食堂に)シェフを派遣してイベントを開催することもあります。
蕎麦打ちイベントなどはとても人気で、それがキッカケでコミュニケーションの輪が広がるかもしれません。何事も自発的に楽しく取り組める仕掛けが大切ではないでしょうか」
本社内にあるテストキッチンで。ここで様々な新メニューが開発されている。